December 26 2008

「客の側にも芸を解する力量が問われる」     【金沢・ひがし茶屋街】

夜は値段と味のバランスが取れた寿司屋で忘年会。翌朝はホテルのバイキングで洋食と和食を頂く。これぞバイキングの醍醐味。
その後魚と人で賑わう近江町市場を抜け、料亭、茶屋の並ぶ主計町茶屋街に寄った後、ひがし茶屋街は国の重要文化財「志摩」へ。文政3年(1820年)に建てられたお茶屋の建物で、これまで手を加えることなく残っており、学術的にも貴重な文化遺産として高く評価されているようだ。その建物もさることながら、そこで「茶屋遊びの粋」について手解きを受けた。

客は贅を尽くした空間に遊ぶ、芸と美の後援者でもあり、客の側にも芸を解する力量が問われ、旦那衆は茶屋通いのために自ら稽古事をするらしい。最上の客とされるのは芸妓を楽しませるほどの懐の広さを持った者であり、最高の芸妓とは客に我を忘れさせる術を身につけた者のことを言うようだ。
これはまさに仕事をする上で理想の関係だ。お金を払う側の客だからと踏ん反りかえるのではなく、客としての自分のレベルを上げることでさらに良いものが提供される。
我々の仕事でも結果的に良いデザインだと評価される仕事は、センス(独創性)があり、向上心があり、行動力があり、そして協力的であるクライアントの下で必ず行われている。これは仕事に限らず、夫婦、家族、友人などの関係においても当てはまる気がする。依存ではなくお互いの切磋琢磨による共存。

さすがに芸妓さんはいないがそのお茶屋で我々もお茶と和菓子を頂き、庭を眺めながら日本の趣を堪能させて頂いた。

帰りのサンダーバードでなんと「オグシオ」と同じ車両に。その時はなんか似ているなあと思いながら、まさかこんなところにと思っていて特に気にしていなかったのだが、後で調べてみるとその日富山県高岡市で試合があったらしく、さらに次の遠征先は鳥取市だと判明。やっぱりあれは「オグシオ」だった。結局新幹線で岡山まで全く同じルート。いやーなんだかわからないけど、ちょっと損した気分。

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December 25 2008

「建築物は建築の墓」  杉本博司 歴史の歴史   【金沢21世紀美術館】

先週末当事務所の忘年会を兼ねて、北陸は金沢へ行って来た。新鮮でうまい魚を食べる目的もあるが、一番の目的は金沢21世紀美術館で開催中の展覧会「杉本博司 歴史の歴史」だ。
写真家として知られる杉本博司だが美術作品のコレクターとしても名高い。今回の展覧会では写真、考古物、美術、インスタレーションなどで構成されており、見る者に刺激的な世界観を与えるものとなっている。
そんな中で僕は杉本博司の書する、発する「言葉」に心を動かされる。
「化石は世界最古のアートである」「写真とは現在を化石化する行為である」「人骨構造の反重力構造の完成である」「重力に抗えることを証明する事が、権威と権力の象徴となった」「ヘラクレスの彫刻が天を支えているようにも見えるその構造を美しいと思った」「八百万の神」「現世利益を標榜」
さらに自著「苔のむすまで」では「資本は商品を産むための血液である」「理想が現実と妥協した結果が建築物なのだ。どれくらい現実との妥協に抵抗できるかが一流の建築家であることの証となる。言い換えれば建築物は建築の墓なのだ」「現な像」
デザインでも同様だがやはり、言葉の力は大きい。
展覧会では是非杉本博司の「言葉」にもご注目を。来年3月22日まで開催中。

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December 20 2008

現代アートとは?    【横浜トリエンナーレ2008】

少し前になるが、横浜トリエンナーレに行って来た。
新たな表現方法だと感じる作品がいくつかある一方で、現代アートの行き着いた感を感じさせるタブーの域に突入した作品も多かったように思える。
それは倫理的な問題でもあり、感覚的な問題でもある。到底子どもには見せられない。でもそれがアートなのか?こうなってくると何がどうなのかわからなくなる。それもアートなのか?つまりは良い、悪い、わかる、わからないではなく、考えることが自体がアートなのか?横浜で開催される意義は?岡山でも良いのでは?
そんな中、内藤礼さんの静謐な作品と空間で心が癒された。

あぶない刑事のエンディングでおなじみ、赤レンガ倉庫

横浜港大さん橋国際客船ターミナル

中谷芙二子氏の人工霧(三渓園にて)

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December 16 2008

作品集刊行を刊行しました。 (限定5部)

クオデザインスタイル設立以来5年間の仕事をまとめたポートフォリオを刊行しました。と言ってもオンデマンド出力で中綴じ冊子16Pの簡易なものですが・・・。ご興味を持って頂いた方には1部500円で販売します。ご希望の方はメールでお申込みください。限定5部です。お早めに・・・!!

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December 10 2008

最近のお仕事です。
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November 25 2008

地域づくりはクリエイティブの力で。 【島会発足記念シンポジウム】

先日土曜日うちさんげ電気ビル・エネルギアホールにて島会発足記念シンポジウムが開催されました。柴田一就実大学名誉教授、福武總一郎ベネッセ会長の基調講演の後、福武会長と若手クリエーターがパネルディスカッションを行いました。そのパネラーの一人として僕も参加させて頂きました。
地域づくりについてグラフィックデザイナーの観点から意見を述べようと意気込んでいましたが、なかなか壇上に立つと緊張してうまく言えないものですね。

デザインの観点とは二つ。一つ目は良い所をセンスよくアピールすること。センスよくとは相手の心に届くということ。心に届くロゴマークやポスター、パンフレットなどの広報物を作成する。岡山は他に誇る良い風土、自然・歴史、文化・芸術、人材が揃っているにも関わらずアピールが下手。情報は伝えても空気感が伝わらないものは心に届きません。

二つ目はバランスです。僕たちデザイナーの仕事とは機能性と創造性のバランスをとることです。それはどちらも中途半端ということではなく、最大限両立できるよう考えに考えぬくこと。地域づくりにはお金、人、法律、アイデア、理想など様々なしがらみや障害、問題点が多く含まれています。これらのバランスをより高い位置で保たせることができるのは、実はデザイナーの仕事です。

今地域づくりと言えばアートです。ただ福武会長もおっしゃっていましたが、アートというのは(一部を除き)地域づくりの手段に過ぎません。地域の本質を捉え、お金、法律、住民の意見、アイデア、理想などのバランスを取り、そして良い所をセンス良くアピールし、住民自身が誇れる地域にするにはデザインの力が必要不可欠です。ただ賑わい創出という観点で「アート」は絶大な力を持っています。

これからの地域づくりに求められるものは、アートとデザインの融合。つまり頭を使って「考えよう」ということです。人間は考える葦ですから。

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November 17 2008

福武總一郎会長と鍋をつつく。  【瀬戸内の島々交流協議会(通称:島会)】

先日今週末に開催されるシンポジウムの懇親会があった。役員の方々をはじめパネルディスカッションに参加する写真家の青地さんご夫妻と地域デザイナーの井筒さんご夫妻、そして基調講演をして頂くベネッセコーポレーション会長兼直島福武美術館財団理事長である福武総一郎氏らとともに鍋を囲んだ。
超一流の財界人もあり、文化人でもある福武会長と私たちのような若造が同じ鍋をつつく機会はめったになく、とても良い刺激となった。
今や世界の直島と言われるまでになった文化・芸術を用いての地域づくりの手腕は、日本で福武会長の右に出るものはいないのではないか?それだけに「経済は文化のしもべである。」と常々申されている福武会長の一つ一つのお言葉には心に響くものがあった。
またとても気さくな方であり、日本や世界の超一流レストランを数多くご存知だとは思うが、話は岡山の食べ物屋で値段はB・C級、味は超A級のお店を教えて頂いた。是非足を運んでみたい。
他にもいろいろお聞きしたいお話はあったけど、時間の関係であまり聞けなかった。ただ一つ残念なことは、岡山のまちづくりについてはほぼあきらめられていた。まあいろいろと経緯はあるようだが・・・。続きは22日(土)のシンポジウムでお聞きしよう!。(詳細は当サイトトップページに)

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